「H&M」は中国人デザイナーのエンジェル・チェン(Angel Chen)が率いるアパレルブランド「エンジェル チェン」と組み、9月にカプセルコレクションを発売する。「H&M」が中国人デザイナーと協業するのは今回が初めてだ。
同コレクションは中国に加えて、中国系の消費者が多いシンガポール、マレーシア、フィリピン、カナダで店舗とオンラインで販売する。経済的に余裕があり、旅行の経験も豊富でファッションに積極的な中国語圏の若年層を取り込む狙いだ。
マグナス・オルソン(Magnus Olsson)H&M中華圏カントリー・マネジャーは、「消費者は絶えず変化しており、ファッション業界も変革期にある。当社ではベーシックなものと最新トレンドのアイテムをバランスよく販売しているが、各国の消費者に素晴らしいデザインの商品を提供する方法を世界中のさまざまな市場で実験している。『エンジェル チェン』は東洋と西洋の美的感覚の融合をコンセプトとした、中国のデザイナーズブランドの先駆者的存在だ。当社は今回のコラボを大変うれしく思っており、中国の若手デザイナーの創造性やその中国人消費者への影響力の大きさはもちろんのこと、国外のファッション業界への影響力の大きさについてもより注目を集めたいと考えている」と語った。
「エンジェル チェン」は中国国内のセレブリティーやアーティストの間で高い人気があり、チェン=デザイナー自身もセレブの一人と目されている。同ブランドは中国語圏で10店舗を抱える中国の有力百貨店レーン クロフォード(LANE CRAWFORD)や英百貨店セルフリッジ(SELFRIDGES)、伊ECサイト「ルイーザヴィアローマ(LUISA VIA ROMA)」など世界で60の卸先がある。今回のカプセルコレクションは中国武術をコンセプトとしており、松や竹、ドラゴン、鶴といった模様をあしらったフーディーやTシャツなど45のアイテムを発売する。価格は59~1490元(約944~2万3840円)程度の予定。
チェン=デザイナーは、「中国文化と私のアイデンティティーを作品に反映することを最優先し、売れるかどうかは二の次でデザインした。ブランドを象徴するルックをいくつか選び、色味や素材、ディテールなどをアップデートした。例えば、ボディースーツは再生ナイロン100%のメッシュ素材で作られている。サステイナビリティーをどう取り入れていくかについては、H&Mとよく話し合って決めた」と語った。
「H&M」は2007年に中国に進出。同ブランドにとって世界で4番目に大きな市場で、6月末時点で中国本土に460の店舗を運営している。オルソンH&M中華圏カントリー・マネジャーは、「当社は中国およびアジア市場を非常に重視しており、中国の旧正月(春節)向けにキュレーションした特別コレクションを6年連続で発表している。また16年にはアジアに着想源を得たコレクションを立ち上げているほか、18年にはアジア限定のランジェリーラインも発売している」とコメントした。
なお同氏によれば、「H&M」の親会社であるH&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)が擁する「アンド アザー ストーリーズ(& OTHER STORIES)」が今秋、アリババ(ALIBABA)が運営する中国最大のECサイト「Tモール(TMALL)」に出店するという。