ヴェルサーチェ(VERSACE)、コーチ(COACH)、ジバンシィ(GIVENCHY)は、Tシャツに香港や台湾を独立した国のように表記して中国の主権を侵害していると批判され、8月11~12日にそれぞれの公式ウェイボー(微博、WEIBO)アカウント上で相次いで謝罪する事態となった。
問題のTシャツは、いずれも背中に「シカゴ、アメリカ」「北京、中国」のように国名と都市名が列挙されているデザインだ。しかし、「ヴェルサーチェ」のものには「香港、香港」「マカオ、マカオ」と、「コーチ」のものには「香港」「台北、台湾」と、「ジバンシィ」のものには「香港、香港」「台北、台湾」とプリントされていた。「コーチ」と「ジバンシィ」の商品は過去に発表されたものだが、香港で犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案に反対するデモが激化する中、あらためて中国の消費者の注意を集めてしまったようだ。
これを受けて、「ヴェルサーチェ」のアンバサダーを務める中国の女優ヤン・ミー(Yang Mi)が同ブランドとの契約を解除する声明を出しているほか、「コーチ」のアンバサダーを務める中国のトップモデル、リウ・ウェン(Liu Wen)と同女優クアン・シャオトン(Guan Xiaotong)もブランドと距離を置く姿勢を見せた。ウェンは自身のウェイボーアカウントに「中国の主権と領土保全の原則はいかなるときも侵害されてはならない。私が提携しているブランドが不正確な表記をし、皆さまを傷つけてしまったことを謝罪する。私は母国を心から愛しており、中国の主権を大事にしたいと考えている」と投稿した。
ヴェルサーチェは、「当該のTシャツは販売を中止し、全て廃棄処分する。われわれは中国を愛しており、その主権と領土保全の原則を尊重している」とウェイボーの公式アカウントで発表した。
コーチも同様に、「問題の重要性を深く認識している。当ブランドが発表したTシャツに大きな間違いがあることを2018年5月に発見した際は、世界中の店舗や販売チャネルから即座に撤去するなど迅速に対応した。同時に製品を全て見直し、同様の間違いが起きないよう社内管理を強化している。皆さまの気持ちを傷つけてしまったことに対して、心からお詫びする。われわれは中国で長きにわたって発展したいと考えており、そのためにも皆さまからご批判、ご叱責いただいたことを真摯に受け止めている。今後も、中国の皆さまのために質の高い製品とサービスを提供してまいりたい」と発表した。
ジバンシィも、「当ブランドのTシャツにおける間違いについて、またそれが引き起こした議論について心からお詫びする。人的怠慢や過失による間違いは直ちに修正しなければならないと考えており、再発防止に努めていく。われわれは常に中国の主権を尊重し、“一つの中国”政策を揺るぎなく支持している」と発表した。
なお、日本のアシックス(ASICS)も公式サイトの国を選ぶ選択肢に中国とは別に香港と台湾があったことを批判され、12日に同社の中国法人が謝罪した。また18年には、ザラ(ZARA)や米デルタ航空(DELTA AIR LINES)なども同様の批判を受けて謝罪している。