「モンクレール(MONCLER)」や「カナダグース(CANADA GOOSE)」などのダウンジャケットやコートは、冬の定番アイテムして人気が高い。ダウンとは水鳥の羽毛のことで吸湿発散性に優れていることからダウンジャケットや羽毛布団に使用されるが、動物愛護の観点から、生きた水鳥から手で羽毛をむしる“ライブハンドプラッキング”が問題視されている。動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)によるダウン生産現場の映像では、羽毛をむしられ地面にうずくまる水鳥や、裂けた体を針と糸で縫われる水鳥(羽毛は6~7週間で生えそろうため繰り返しライブハンドプラッキングが行われる)の姿が映っており、業界内でも倫理的な原料調達をしようとする動きが広がっている。有力ブランドの多くは倫理的なダウン調達を証明する認証を取っているとはいえ、市場で出回っている多くのダウンジャケットが必ずしも倫理的な原料調達をしているとは限らない。
このような流れを受けて2013年にイタリア・ミラノで誕生したアウターブランドが「セイブ・ザ・ダック(SAVE THE DUCK)」だ。その名もずばり、(羽毛を採取され続けている)“カモやアヒルを守れ”。ダウンの代わりに最先端のテクノロジーを駆使して開発されたリサイクルポリエステルの軽量素材プラムテック(PLUMTECH)を使用しており、豊富なカラーバリエーションと折り畳んでコンパクトに収納可能な実用性が特徴だ。プラムテックとは、次世代の微粒子ハイテク中綿のことで、ダウンに勝るとも劣らない柔らかさをはじめ、保温性、通気性、軽量を実現。また、外部の素材には通気性、防水性、摩擦抵抗性、耐湿・防カビ性に優れた光沢感のあるナイロン素材を使用している。
「セイブ・ザ・ダック」は欧米で人気上昇中で、イタリア・ミラノのショッピングセンターであるブライアン&バリー(BRIAN & BARRY)で、は2016年秋冬には「モンクレール」や「カナダグース」「ヘルノ(HERNO)」などのダウンブランドを上回る数を販売したという。裏地には、“100%アニマルフリー”と記されたものもあり、室内でさりげなく動物愛護精神をアピールできるようになっている。
日本では栄進物産が独占輸入販売しており、高島屋日本橋店や高島屋新宿店、伊勢丹新宿本店、松屋銀座本店、三越銀座店、阪急うめだ本店などで販売している。