TSIホールディングスの2019年3~8月期は、売上高が前年同期比8.8%増の818億円、営業損益が1億6400万円の赤字(前年同期は1億8600万円の赤字)、純損益が10億円(前年同期は3億6000万円の赤字)だった。昨年10月に買収した上野商会が増収に寄与し、ゴルフウエア販売のキャロウェイアパレル事業の売却(5月)による特別利益10億円で純利益が黒字化した。夏の低気温や長梅雨の影響で夏物販売に苦しんだが、最優先課題として掲げる正価販売強化を推進。在庫の圧縮やセールの抑制で歩留まり率を改善した。
改革の成果として、不調が続いていた主力ブランドが浮上した。「ローズバッド(ROSE BUD)」は、在庫を従来の55%まで絞ったことで売り上げは約12%減となったものの、店舗整理やブランドテイストの見直しが奏功し、売上総利益率を3.1ポイント改善して黒字化を達成した。「秋冬からはブランドの個性を打ち出すためにさらにエッジイなアイテムをさらに増やし、低迷の間に離れた顧客を呼び戻す」(上田谷真一社長)。「ナチュラルビューティーベーシック(NATURAL BEAUTY BASIC)」もプロパー消化率を2ポイント、売上総利益率を0.8ポイント改善した。
一方、稼ぎ頭の「ナノ・ユニバース(NANO UNIVERSE)」は売上総利益率が2.8ポイントの悪化。前年の猛暑を踏んで夏物在庫を積み過ぎ、8月に値引き販売を強いられて在庫の評価損につながった。「若いチームがゆえの粗さが出てしまったが、秋冬物はきっちり在庫をコントロールする」。「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」は「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で「ゾゾアリガト(ZOZO ARIGATO)」実施の際に在庫を引き上げたことがダメージとなり、売上高が1.6%減、売上総利益率は1.2ポイント低下した。
ECでは自社サイトの売上比率を高めるため各ブランドのアプリ拡充を進めており、「オムニチャネル化、ロイヤルカスタマーの獲得は順調」。店頭・ECの双方で買い物をする顧客の構成比は全体の客数に対し前年同期比11.2%増となり、客単価も同約1.5倍に伸長した。
上田谷社長は「(現状に)楽観も悲観もしていない。構造改革は後ろ倒しせず、地道に進めていく」と強調する。