中国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)が中国の「独身の日(シングルデー)」に合わせて11月11日に開催した大規模なセールは、最終的に流通総額2684億元(約4兆260億円)と昨年の2135億元(約3兆2025万円)を突破し、同社の記録を更新した。
今回で11回目を迎えた同イベントは、ジャック・マー(Jack Ma)共同創業者兼前会長が2019年9月に退任して初の開催であることから、同社も売り上げの動きを注視していたことだろう。また米中貿易摩擦の影響や11回目であることによる消費者の“だれ”が懸念されていたが、ふたを開けてみれば開始から68秒で流通総額が70億元(約1050億円)に、1時間後には840億元(約1兆2600億円)に達するなど、そうした懸念を早々に吹き飛ばした。
「独身の日」セールの大成功を受けて、中国ではさまざまなEC企業が“7月7日”や“12月12日”などの日付に合わせたセールを実施するようになっているが、主要ブランドが多数参加する「独身の日」セールの規模は別格だと専門家らは話す。アリババによれば、中国本土以外の国や地域からの購入も多く、流通総額別では香港、米国、台湾、オーストラリア、日本、マレーシア、シンガポール、カナダ、英国、マカオがそのトップ10だという。
また、今年の特徴はライブストリーミングの台頭だろう。セール開始から10時間の時点で、出店ブランドの半数がライブストリーミングを活用して商品を販売していたという。ロレアル パリ(L'OREAL PARIS)のアイリーン・ゾン(Eileen Zong)=ブランド・ジェネラル・マネジャーは、「当社は中国でインフルエンサーの役割を果たしているキー・オピニオン・リーダー(Key Opinion Leader以下、KOL)のチームを抱えているが、『独身の日』セール当日に24時間ノンストップでストリーミングを続けられるように人員を強化した。KOLチームが商品を試す様子に加えて、パリにあるラボの内部なども配信し、生産工程に関心を持つ消費者のニーズにも対応した」と語った。