バーバリー(BURBERRY)の2019年4~9月期決算は、売上高が前年同期比5.0%増の12億8100万ポンド(約1793億円)、純利益が同13.6%増の1億5000万ポンド(約210億円)と増収増益だった。
地域別での売上高では、中国本土は14~16%増と好調だったが、大規模なデモが長期にわたって発生している香港での売り上げが2ケタ減だったため、日本を含むアジア太平洋地域全体では同5.9%増の5億20万ポンド(約700億円)だった。欧州・中東・インド・アフリカは同5.6%増の4億8740万ポンド(約682億円)、南北アメリカは2.1%増の2億6990万ポンド(約377億円)だった。
部門別に見ると、メンズアパレルが同12.2%増の3億4720万ポンド(約486億円)と好調で、ウィメンズは同7.7%増の3億8740万ポンド(約542億円)だった。バッグなどアクセサリー類は同2.4%減の4億5720万ポンド(約640億円)だったが、これは旧製品の売り上げ減速によるもので、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)=チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)による製品が増加するにつれて持ち直したという。なお、ティッシCCOが手掛けた製品の割合は19年3月の時点では10~15%だったが、現在は70%程度にまで上昇している。
マルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)最高経営責任者(CEO)は、「香港は現在非常に緊迫した状況にあるが、すぐに解決するとは思えない。いずれ落ち着きを取り戻すことを願いつつ、その影響を最小限に抑えるべく努めるしかないだろう。私は楽観主義者なので、アジアの重要な市場である香港から撤退することは考えていない」と語った。「バーバリー」は香港に12店舗を構えている。
ジュリー・ブラウン(Julie Brown)最高執行責任者兼財務責任者は、「香港で今後6カ月間は混乱が続くと予想しており、店舗の家主と賃料の値下げ交渉を行う予定だ」と述べた。
バーバリーの売り上げのうち40%程度が中国本土によるものだが、同社はソーシャルリテール(SNSを活用した小売り)を強化するべく、中国の人気SNSウィーチャット(微信、WeChat)を擁する同インターネットサービス企業大手のテンセント(騰訊、TENCENT)と協業することも決算と同時に発表した。バーバリーは20年上期に中国・深圳に出店する予定だが、テンセントのテクノロジーを活用し、ラグジュアリーブランドの顧客のオンライン上での活動を現実と結び付けることで「ユニークな買い物体験」を提供するという。ゴベッティCEOは、「顧客がラグジュアリーブランドに触れ、製品を何となく眺めて(これが欲しいという)“インスピレーションを得る”段階でソーシャルメディアが果たす役割の重要性が増している。そうした潮流に乗り遅れてはならないし、ソーシャルメディアの利用率が非常に高い中国でこうした試みをスタートさせるのは理にかなっている」と説明した。同社は“モノグラム ダウンコレクション”の発売に合わせて、ブランド初となるオンラインゲーム「B バウンス(B BOUNCE)」を10月に発表している。
ゴベッティCEOは、「新戦略が奏功し、『バーバリー』は既存の顧客はもちろんのこと、あらゆる地域で新たな顧客を引き付けられるエネルギッシュなブランドとしてよみがえった。決算の結果には大変満足しており、今後についても楽観的な展望を描いている」と締めくくった。なお同氏は、東京・銀座店が11月17日に移転オープンするのに合わせて来日する。これはティッシCCOが打ち出した新たなコンセプトで作られる国内第1号店で、売り場面積は現店舗のおよそ3倍となる。