三越日本橋本店は27日、本館6階のジュエリー売り場を改装オープンした。大規模な改装は30年ぶり。名称を従来の宝石サロンから「ジュエリーギャラリー」に改め、面積も1.5倍に増床した。数百万円、数千万円の高額品の品ぞろえを強化し、ジュエリーに資産価値を求める富裕層のニーズにも応える。
隣接する場所に8月に改装オープンした時計売り場「ウォッチギャラリー」と同様に、これまでのショーケース越しの対面式の商品陳列を一新し、美術館でアート作品を鑑賞するように客とスタッフが同じ側から商品を自由に見て回る“側面式”を採用した。これに伴いショーケースの高さを約10cm高くし、女性が立ったままの目線で商品を見やすくした。ゆったりとした椅子やソファーを完備したプライベートな接客スペースを充実させ、人目を気にすることなく、品定めができるよう配慮する。高額品の接客のための個室も新しくしている。
時計売り場に続き、販売員も「カテゴリースペシャリスト」と呼ばれる専門職を6人配置した。ブランドの垣根を超えて、顧客の細かい要望に応える。売り場内での接客だけでなく、売り場の外に出てVIP客への販売も担う。
編集ゾーン「ジェムガーデン」では、ダイヤモンド、パール、ルビー、サファイヤ、エメラルドなど素材ごとに商品を幅広く紹介する。その中に設けた「至宝ギャラリー」では、億単位のジュエリーを陳列し、約2週間で中身を変える。改装オープンに際して「ファイディー(FAIDEE)」の3億3800万円(予価)のルビーネックレスを紹介する。これまで億単位のジュエリーは売り場には陳列せず、特定のVIP顧客に紹介してきた。これをはじめ高額品の陳列を増やすようにしている。三越伊勢丹の菅百代・宝飾マーチャンダイザーは「既存のお客さま(三越日本橋本店の顧客)だけでなく、新しいお客さまとの接点を作るためにもオープンに展示していきたい」と話す。
ブランドブティッックは既存の「ウェレンドルフ(WELLENDORF)」「ショパール(CHOPARD)」「タサキ(TASAKI)」「ダミアーニ(DAMIANI)」「ピアジェ(PIAGET)」「ポメラート(POMELLATO)」「ミキモト(MIKIMOTO)」を改装し、新たに「フレッド(FRED)」が加わった。
百貨店のジュエリーは10月の消費増税以降、一般客の買い控え傾向が続く。同店では新しい売り場でクリスマス商戦での需要喚起を狙う。初年度の売上高は改装前の1.4〜1.5倍を計画する。