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ストリートを超えて、さらなる進化 多彩なコラボレーションを武器に世界で戦う【ネクストリーダー2020】

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 「WWDジャパン」は、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた企画「ネクストリーダー」を実施している。今回で3回目を迎えた同企画の対象者は、ファッションビジネスに関わるあらゆる分野の若きリーダーたち。情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進むネクストリーダー10組を紹介する。

 「レディメイド(READYMADE)」は2013年のスタート以降、多彩なコラボレーション力とミリタリーアイテムをアップサイクリングするコンセプトを掲げて、国内外でグングンと知名度を上げてきた。デザインはもちろん、細川自身が製作面でも手を動かすなど、長年培ったクリエイションはジャンルを問わず高く評価されている。昨年は「ディーゼル(DIESEL)」の「レッドタグ プロジェクト(Red Tag Project)」とのコレクションを発表したほか、ラッパーのトラヴィス・スコット(Travis Scott)や大友克洋の「AKIRA」、アーティストの村上隆ら、多岐にわたるコラボレーションを行った。キャッチーでクリエイティブな“バズる”ブランドを手掛ける細川雄太とは?

WWD:ブランド名「レディメイド」の由来は?

細川雄太「レディメイド」デザイナー(以下、細川):ブランド名はマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)の「泉」(便器のアート)の概念(芸術作品として展示された既製品)から付けた。ただの便器をアートに見せるみたいに、見せ方を変えて違うモノとして見せるとか、一点一点に意味を持って作りたい。その洋服にメッセージ性も入れたくて、ミリタリーアイテムを解体してリサイクルすることで反戦の意味も込めている。僕自身、古着が好きで一点モノの古着を買い物しているときが一番楽しいから、「レディメイド」は通販もしないし、全部微妙に色が違うとか破れているとか、そういうことをすごく大事にしている。

WWD:今興味があることは?

細川:常に新しいリサイクル素材を探しているんだけど、最近はペットボトルのリサイクルに興味がある。その素材を使って家具のデザインもしたい。ほかにも“枯れない観葉植物”とか、こんなのできないかなというアイデアはたくさんある。

WWD:洋服のアイデアが浮かぶときは?

細川:納期がもうヤバイっていうとき。例えば6月の展示会が終わったら次は1月の展示会に向けてモノ作りするわけだけど、その時に無理やりアイデアを出しても、翌日とか翌月にはそのアイデアに飽きていることが多くて。だから1カ月ぐらい寝かせてやっぱりやめることもあるし、ギリギリのときに出たアイデアが自分の中のベスト。

WWD:シーズンを追うごとに発売する型数に変化はあった?

細川:だいたい同じ。僕も何度か型数の多いブランドの展示会に行ったことがあるけど、そういう展示会を見ていると、入ってこないというか覚えられない。だから「レディメイド」は多くなくていいし、自分の目が届く範囲が今の型数でもある。

WWD:今年は「ディーゼル」とのコラボレーションも発表した。今までと大手企業とのコラボレーションで違いはあった?

細川:レンツォ(ロッソ=ディーゼル創業者)の懐が深くて、いつものモノ作りのスタンスは変えずに自分たちの希望通りに作れた。素材もひたすら探して、洗っての繰り返しですごくアナログだし。

WWD:大切にしているものは?

細川:友達。友達と「なんか面白いことしようよ」ってベラベラ話して。「じゃあ、こんなのどう?」とか「こうやって売ろう」とか作戦会議みたいな。そういう感じの話をするのが好きだから。

WWD:新しい動きはある?

細川:ブランド名はまだ言えないけど、今月(1月)パリでアーティストのカリ・ソーンヒル・デウィット(Cali Thornhill Dewitt)と一緒に新しいメンズのブランドを立ち上げる。「レディメイド」とは考え方を別にして、古着からインスピレーションを得たモノを作ろうと。ファーストシーズンはカットソーを中心に作る。

WWD:大阪を拠点としているけど、海外にいるカリとはどうやってコミュニケーションをとっている?

細川:朝の2~3時間しか時間が合わないからそこでメールやFaceTimeで、ミーティングして、お互いのデザインを出し合っている。僕はいまだに英語が全く喋れないので、画像を見せて「like」とか、「Yes」か「No」で答えてくれとか。アシスタントは英語が得意なので、ややこしいことは通訳してもらう感じ。

WWD:この1年を振り返るとどうだった?

細川:自分自身としては少し静かにしていた年だった。やらなければいけない案件も多かったから、頭の中にはやりたいことはあっても、自分の中でのタイミングがまだみたいな。でも、だからこそデザインに集中できたし、新しいブランドのことも考えられたんだと思う。

WWD:2020年の目標は?

細川:来年は7月ぐらいから徐々に大きなことをやっていきたくて、その企画を少しずつ動かしている感じ。あとは、今決まっている仕事の納期を守ることかな。でも面白いことって考えてやることじゃないと思う。その時のノリでやるのが一番楽しいから、こうなっていたいとか一度も考えたことない。

【推薦理由】
昨今のメンズシーンに起こったストリートブームによって脚光を浴びた印象を持つ人も多いかもしれない。でも「レディメイド」はその前からも、ブームが終息しそうな現在もますます勢いを増している。“バズる”にもいろいろ種類はあるが、細川デザイナーのそれは、マーケティングというより、純粋なデザインセンスから発生させているものだと思う。自由な発想から生まれるアイデアは言葉の壁を超えて、この先も感度の高いセレブリティーをとりこにするだろう。

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NEXT LEADERS 2020
ファッション界の未来を担う「ネクストリーダー」10組

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