【8ページ目】LOEWE(ロエベ)
■LOEWE(ロエベ)のはじまり
1846年、皮革工房として創業。当時からコアビジネスのスモールレザーグッズを製作。ドイツ人レザー職人のエンリケ・ロエベ・ロスバーグ(Enrique Loewe Roessberg)が「ロエベ」を冠しファミリービジネスから世界規模へ発展。今ではクラフツマンシップを重んじるラグジュアリーブランドの一つに。2013年、イギリス人のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)がクリエイティブの指揮を執り、世界の工芸や芸術も発掘。アイコンバッグも数々誕生させている。ドイツ語の名を持つスペインのブランドとして発音が難しいとされていた。正しい発音は“ロ・エ・ヴェ”。
■LOEWE(ロエベ)の歴史
1846年、数人の職人が、活気溢れる商業地域だったスペイン・マドリードのロボ通り(現・エチェガライ通り)に皮革工房を開く。当初は財布と小銭入れ、タバコ入れ、フォトフレーム、書類かばんといった革製の用具入れを主に製造。72年、28歳だったドイツ人のレザー職人、エンリケ・ロエベ・ロスバーグがイスラムの伝統的な卓越したなめし技術に出合い、工房のオーナーとして入る。自身の名「ロエベ」を冠し、協同工房とする。王侯貴族が使用する手帳や小物バッグ、かぎタバコ入れ、小銭入れ、裁縫箱などの受注生産を主に行う。80年代事業拡大を続け、92年、本社をマドリッドのプリンシペ通りに移転し、受注生産を辞め、「E.ロエベ(E.LOEWE)」の直営店を構える。大きな小売店を併設する工房では、ハンドバッグの生産・販売が行われた。1905年、王室御用達の高級皮革製品として名が広がり、2代目のエンリケ・ロエべ・ヒントン(Enrique Loewe Hilton)が顧客だったアルフォンソ 13世から栄誉を与えられる。39年、マドリードのビジネス街、グランヴィア通りにブティックをオープン。59年、メンズとウィメンズのファッション&アクセサリー部門を開設。63年、海外1号店をロンドンのオールド・ボンド・ストリートにオープン。65年、デビューコレクションを発表。70年、ビセンテ・ベラ(Vicente Vela)による4つのL字を組み合わせた象徴的なロゴを発表。72年、初の女性向け香水「エル・デ・ロエベ(L DE LOEWE)」を発売。73年、日本1号店を三越日本橋本店にオープン。74年、初の男性向け香水「プール・オム(POUR HOMME)」を発売。75年、バッグ“アマソナ(AMAZONA)”が誕生。
85年、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)と国際部門(海外における販売権)における販売契約を締結する。パリ・モンテニュー通りに旗艦店をオープン。86年、マドリードのセラーノ通りに初のメンズ店がオープン。ロエベジャパン設立。88年、4代目のエンリケ・ロエベ・リンチ(Enrique Loewe Lynch)がロエベ財団(LOEWE FOUNDATION)を設立。
96年、LVMHグループの傘下に入る。97年、ウィメンズのデザイン・ディレクターにナルシソ・ロドリゲス(Narciso Rodriguez)を起用(97〜02年)。98年、98-88年秋冬からパリコレに参加。2002年10月、ホセ・エンリケ・オナ・セルファ(Jose Enrique Ona Selfa)がウィメンズのデザイナーに就任(03年春夏〜08年春夏)。08年1月、スチュアート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)がブランド初のクリエイティブ・ディレクターに就任(08-09年秋冬〜13年)。13年5月、日本とスペインの交流がスタートしてから400年のアニバーサリーを祝い、「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」とコラボ。9月、ジョナサン・アンダーソンがクリエイティブ・ディレクターに就任(15年春夏〜)。14年、デザインユニット「エムエムパリス(M/M(PARIS))」によりロゴを刷新。7月、表参道旗艦店をオープン。16年、ジョナサン考案により、現代工芸初の国際賞となるロエベ財団 クラフトプライズ(LOEWE FOUNDATION Craft Prize)を創設。年に一度の開催で、現代のクラフツマンシップの卓越性、芸術的価値、革新性を称える。9月、パスカル・ルポアブル(Pascale Lepoivre)前セリーヌ(CELINE) エグゼクティブ・バイス・プレジデントが新CEOに就任。11月、マドリード旗艦店が世界最大規模でリニューアル。12月、ロンドン旗艦店を移転リニューアル。17年、「パウラズ イビザ(PAULA’S IBIZA)」とのコラボコレクションをスタート。
19年1月、メンズライン“アイ/ロエベ/ネイチャー(Eye/LOEWE/Nature)”を発表。11月、銀座の旗艦店「カサ ロエベ 東京」をオープン。20年、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」に期間限定店をオープン。初のホームセンス・コレクションを発売。21年1月、スタジオジブリの映画「となりのトトロ」とのカプセルコレクションを発売。3月、コレクション制作の過程で生まれた余剰や端切れのレザーを再利用し、新たなアイテムを制作するプロジェクト“サープラス プロジェクト(Surplus Project)”を始動。11月、ロエベ財団が三鷹の森ジブリ美術館を管理・運営する徳間記念アニメーション文化財団のスポンサーに就任。22年3月、スイス発のスポーツブランド「オン(ON)」と初コラボ。7月、セレクトショップのGR8(グレイト)とのコラボキャンペーンを制作。キャンペーンビジュアルに北野武や村上虹郎、柄本時生らを起用した。
■LOEWE(ロエベ)の主な歴代デザイナー
ジョナサン・アンダーソン
1984年北アイルランド生まれ、父のウィリー・アンダーソンは元アイルランド代表のラグビー選手。俳優を志し18歳で渡米するが、ステージ衣装に興味を持ち、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion)でメンズウエアを学び、2005年に卒業。その後イタリアで「プラダ(PRADA)」のVMDとして働く。08年、自身の名を冠したブランド「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」 をメンズブランドとして立ち上げ、08-09年秋冬シーズンから発表する。13年、LVMHに株式46%を売却し、「ロエベ」のクリエイティブ・ディレクターに就任。15年、「ブリティッシュ・ファッション・アワード(British Fashion Award)2015」(現ザ・ファッション・アワード(The Fashion Awards))でメンズウエア・オブ・ザ・イヤーとウィメンズウエア・オブ・ザ・イヤーをダブル受賞。17年、20〜21世紀の彫刻家やデザイナー、陶芸家が再考する人間の身体にフォーカスした展覧会「ディスオビディエント ボディーズ(反抗的な体たち、Disobedient Bodies)」をキュレーション。英国ファッション評議会(British Fashion Council)が主催する「ザ・ファッション・アワード2017」から、「ジェイダブリュー アンダーソン」で英国ウィメンズデザイナー賞を、「ロエベ」でアクセサリー・デザイナー賞をダブル受賞する。18年、「ロエベ」の取締役に就任。
■ LOEWE(ロエベ)の主なプロジェクトやライン、アイテム
ロエベ クラフト プライズ(LOEWE CRAFT PRIZE)
ロエベ財団が現代の職人らの卓越性や芸術的価値を称える目的で2016年にスタート。ジョナサンがクラフトの協働工房であったロエベの創業形態にインスピレーションを得て発案したのがきっかけだ。「工芸技術の斬新な適用と芸術性あふれるオリジナルコンセプトを組み合わせること」を応募資格とし、18歳以上のプロのアルチザンから作品を募る。第3回グランプリは日本人初、漆作家の石塚源太が受賞した。
“アイ/ロエベ/ネイチャー”
2019年にスタートしたメンズライン。“自然を愛し、活動的な服を着て、地球のあらゆる場所を冒険する男性”を体現するコレクション。リサイクルやアップサイクルの素材やオーガニック テキスタイルを用いたプレタポルテとバッグを中心とするアクセサリーをラインアップする。
“アマソナ”
1975年、働く女性のためのバッグとして誕生。トップハンドルが特徴のソフトレザーのバッグ。名前はギリシャ神話に登場する女性にちなんでつけられた。ジョナサンがデビューした15年春夏に“アマソナ75”(75は“アマソナ”が誕生した年)を発表。21年に素材とサイズを刷新。
“フラメンコクラッチ”
1970年代に発売されたバッグ。カーフレザーのギャザーとコイル状の結び目を特徴とする。ショルダーバッグやクロスボディーバッグとしても使いやすいモデルで、3種類のサイズがある。ナッパカーフやデニムなど素材もさまざま。
“パズル”
ジョナサンが「ロエベ」で初めて考案し、2015年春夏に発表したバッグ。柔らかなカーフレザーを巧みにカットし、組み合わせた幾何学柄とボックス型が特徴的。75個のピースで完成される。ミニやスモール、ラージの幅広いサイズ展開がある他、ショルダーバッグやトート、クラッチ、バックバックに加え、ホーボーバッグやバムバッグなどのタイプがそろう。
“ハンモック”
2016年発売のバッグ。ハンモックのシルエットにインスパイアされ、折りたたみ構造やジッパーで形状が変化するつくりでさまざまなニーズに応えてきた。“ハンモック トート”、ミニサイズの“ハンモック スモール”や“ハンモック コンパクト”、“ハンモック ドローストリング”、“ハンモック ドローストリング ミニ”、“ハンモック ナゲット”なども展開。
“ゲート”
2018年春夏で初登場したバッグ。サイドにあるメタルピンから垂れ下がるレザーストリップをリボンベルトのように結びつけるスタイルにちなんで名付けられた。サドルやバケット、バムバッグ、トップハンドルなど種類豊富。素材はクラシックなカーフスキンまたはソフトグレインのカーフスキン。
■公式サイト
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