米小売最大手のウォルマート(WALMART)は8月27日、米マイクロソフト(MICROSOFT)と手を組み、動画投稿アプリのティックトック(TikTok)の米国事業買収に乗り出すことを発表した。
ウォルマートは、「ティックトックの買収によってオムニチャネルベースでの顧客へのリーチを強化し、サードパーティーによるマーケットプレイスや広告事業を拡充できる」とコメントした。
ティックトックは米国内だけでもおよそ1億、世界で8億のユーザーを抱える人気アプリだ。しかし親会社が中国企業バイトダンス(BYTEDANCE)であることから、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は国家安全保障上の懸念を理由に、同社に米国事業を11月中旬までに売却するよう命じている。
ウォルマートはEC分野を強化しているものの、ティックトックの運用ができるほどのクラウドインフラは備えていない。一方で、マイクロソフトは買収に当たって米IT企業オラクル(ORACLE)などの有力な買い手候補と競う必要があるため、今回の提携はウォルマートとマイクロソフトの両社にとって有益なものだ。
マイクロソフトはティックトックの米国事業に加えて、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド事業にも関心を示しており、買収額は100億~500億ドル(約1兆500億~5兆2500億円)規模になると見られている。マイクロソフトの時価総額は1兆7300億ドル(約181兆円)、ウォルマートは同3730億ドル(約39兆円)。なお、8月26日にはティックトックのケビン・メイヤー(Kevin Mayer)最高経営責任者が辞任している。