LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、トッズ・グループ(TOD'S GROUP)の株式所有率を10%に引き上げる。トッズ・グループのディエゴ・デッラ・ヴァッレ(Diego Della Valle)会長兼最高経営責任者(CEO)が22日に公表した。取引は4月28日に実行。
LVMHはトッズ・グループに長年投資しており、現在3.2%を所有しているが、子会社のデルフィーヌS.A.S.(DELPHINE S.A.S.)を通して、デッラ・ヴァッレ会長兼CEOが運営するディエゴ・デッラ・ヴァッレ&C S.r.lから株式の6.8%に相当する225万株を取得する。契約前15日間のトッズ・グループ株式の平均から、1株あたり33.10ユーロ(約4200円)とし、計7450万ユーロ(約90億円)で売買する。これにより、デッラ・ヴァッレ会長兼CEOが同グループの株式の63.64%を、LVMHが10%をそれぞれ所有する。
ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOは、「ディエゴ・デッラ・ヴァッレとは20年以上、家族ぐるみの友情を築いてきた。人としても、仕事人としても尊敬している。さらに深く強いパートナーシップを結べてとてもうれしい」とコメント。デッラ・ヴァッレ会長兼CEOもまた「LVMHとわれわれはラグジュアリー、品質、製品について共有の価値観を持っている。これからの可能性を考える良い機会だ」と語った。
業界のアナリストは、トッズ・グループの持つブランド「トッズ」「ホーガン(HOGAN)」「フェイ(FAY)」「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」などを含むグループの売却の可能性を探っており、その買い手にアルノー会長兼CEOとLVMHをあげている。デッラ・ヴァッレ会長兼CEOは売却の可能性を繰り返し否定している。
トッズ・グループは4月9日、メガインフルエンサーのキアラ・フェラーニ(Chiara Ferragni)を新たな取締役会のメンバーに任命してZ世代へのアプローチを強化した。デジタル化に焦点を当て、卸売のプロセスの合理化にも取り組んでいる。フェラーニの任命で同グループの株式は12.1%上昇した。2020年12月期の売上高は、前期比30.4%減の6億3700万ユーロ(約820億円)だった。