銀座を拠点にする松屋は、インバウンド(訪日客)の激減や都心への外出控えなどの打撃を他店以上に受けた。だが、秋田正紀社長は現場の危機感をバネにした改革に手応えを感じている。中でも百貨店の顔である1階の化粧品売り場では、ソーシャルディスタンスを保ちながら顧客を満足させる手法に知恵を絞ってきた。若手の代表として化粧品売り場で奮闘してきたのが三原薫子バイヤーだ。(この記事はWWDジャパン2021年7月19日号からの抜粋です)
WWD:松屋で化粧品売り場の位置付けは?
秋田正紀社長(以下、秋田):化粧品には集客力がある。固定客作りにも寄与してくれる。さらに化粧品を買ったお客さまは他の売り場も買い回る。つまり百貨店の起点となる重要なカテゴリーだ。最近は商品も販売手法も旬を強く打ち出しているので、1階にあることで季節感まで演出してくれる。
三原薫子・化粧品バイヤー(以下、三原):大切にしているのは銀座という土地柄。各ブランドは洗練された美しさを軸として、銀座らしい格式のある表現をしている。以前のコスメカウンターはハードルが高いと思われがちで、一度座ったら買わないといけないのではないかと感じてしまうお客さまが少なくなかった。今はだいぶ変わった。オープンな雰囲気でお客さまにお声掛けし、気軽にさまざまな商品を試せるようになった。
WWD:松屋はコンサバな客が多い?
三原:確かに一番の強みはコンサバというか、ラグジュアリーなスキンケアかもしれない。大事に育てていきたい気持ちはある。ただ、価値観が多様化する中、それだけではお客さまの期待に応えられない。最近はお客さまの多様な価値観に沿った商品を意識的にそろえている。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。