パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)がビューティ事業に本格参入する。メイクアップコレクションを8月21日の公式サイト上でプレローンチした後、同31日に英百貨店のセルフリッジ(SELFRIDGES)、9月12日に仏伊独西葡のセフォラ(SEPHORA)、10月1日に米国のアルタビューティ(ULTA BEAUTY)で順次発売する。同ブランドは今年、ファッション事業とフレグランス事業を統合し、両カテゴリーのイメージを統一。ブランド名を「ラバンヌ」に改称する。
「ラバンヌ」のグローバル・ビューティ・クリエイティブ・ディレクターには、世界的なメイクアップ・アーティストのダイアン・ケンダル(Diane Kendal)が就任した。遊び心あふれるメイクアップコレクションは、“ヌード”と名付けられたファンデーションが30種、アイシャドウ“ユーフォリア”が29種、リップスティック“ルージュ・ラバンヌ”が21種のほか、4つのカテゴリー90SKUでスタートする。パッケージにはブランド・コードをイメージしたメタリックなコンパクトやシャイニーなチューブを用い、価格は約20〜40ドル‘(約2800円〜5600円)とリーズナブルだ。製品はスキンケア発想のジェンダーフリー設計。テクスチャーにこだわり指で顔に塗布して使うことができる。98%自然由来成分配合で、ビーガン、クルエルティフリー(動物実験を行わない)のサステナブルな製法をとっている。
「ラバンヌ」の経営幹部は、メイクアップライン発売時に取扱店舗でメイクアップ部門のトップ10、アイメイク部門のトップ5に入ることを目指している。また、2030年までに世界のカラーコスメブランドのトップ15に入ることを目標に掲げる。最終的にはスキンケアなどほかのビューティカテゴリーにも進出する可能性があるという。
パコ・ラバンヌを傘下に持つプーチ(PUIG)のファッション・ビューティ部門の社長を務めるホセ・マヌエル・アルベルサ(Jose Manuel Albersa)社長は米WWDに、「『パコ ラバンヌ』はここ数年、約40%の成長率を記録しており、間もなく売上高が10億ユーロ(約1550億円)を突破する勢い。直近5年はブランドのポジションが向上し、フェミナイズしている」と説明する。
「ラバンヌ」のフレグランス事業は、世界のフレグランスメゾンのトップ5にランクインし、ベストセラーのメンズフレグランスが多数ある。“ワン ミリオン”はトップ4に、“インビクタス”はトップ7に入っており“ファントム”はトップ10入りを目指している。女性用フレグランスの比重が大きくなりつつある今、その規模を拡大するため戦略を変更する。
「ブランドをより高めるためにフレグランスのパッケージやボトルを刷新し、フェミニンなフレグランスにも注力している」とアルベルサ社長。この戦略は功を奏し、調査会社のNPDグループ(NPD GROUP)によると、プーチは昨年発売した“フェイム”がヒットし、今年は女性用フレグランスで多くの市場シェアを獲得。勢いはさらに加速すると予測されている。「『ラバンヌ』に勢いがある今こそ、カラーコスメの機は熟した」とアルベルサ社長は語る。
プーチは、20年に買収した「シャーロット ティルブリー(CHARLOTTE TILBURY)」をはじめ、「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」などでメイクアップカテゴリーに進出している。