三越伊勢丹は現在、リアルとメタバースを活用して、ファッションを通じて社会課題と未来の暮らしを考えるプロジェクト「フューチャーファッション エキスポ(以下、FFE)」を主催している。FFEは「雨の止まない世界」と「空中で暮らす世界」「月を行き来する世界」「菌類に覆われた世界」そして「仮想空間で生きる世界」という、「決して荒唐無稽ではない、もしかしたら起こるかもしれない世界」(仲田朝彦・三越伊勢丹 営業本部 オンラインストアグループ デジタル事業運営部レヴ ワールズ マネージャー)のシナリオを作成。全国の⼩中学⽣に向けたワークショップなどを踏まえて5つのうち3つの世界のファッションを募り、同社のメタバースアプリ「レヴ ワールズ(REV WORLDS)」上でイベントを開催したり、三越劇場でファッションショーを開いたりして、次世代の斬新なアイデアを仮想と現実空間で具現化し、彼らの創造性を刺激する。今週号の「WWDJAPAN」は、この5つの世界をファッション業界と異業種の対談や座談会を通して考えた(本特集記事を参照)。本記事では、三越伊勢丹の仲田マネージャーと5本の未来シナリオを策定した宮川麻衣子・未来予報代表取締役に、それぞれの未来シナリオについて聞いた。5つの「もしかしたら起こるかもしれない」世界を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月8日号からの抜粋です)
#1 雨の止まない世界
1年間で雨が降らないのは、たった5日間だけ。地面は常に濡れていて、小さな川がたくさん流れている。人々はその上をジャンプするように移動し、大きな屋根のある建物や駅を、颯爽と行き交う。交通手段も大きく変わった。街中を流れるたくさんの川や池を、船のタクシーで移動している。雨から身を守っている人々もいれば、雨用の特殊なウエアを着て、 全身で濡れることを、思いっきり楽しんでいる人々もいる。空はどんよりしているが、以前よりも、人々は幸せに暮らしているようだ。雨にはすっかり慣れたどころか、雨と共に暮らすための楽しみ方を身につけた。太陽の光が差し込まない世界だからこそ、 街中には、明るい色あいや、カラフルな模様が増えた気もする。そして、年に5日間だけの「晴れの日」がやってくると、人々は一斉に外へと出かけ、太陽の光を全身で浴びに行く。「天日干し」ができるのも年に5日間だけなので、この時期だけの贅沢だ。5日間が過ぎると、また新たな雨との暮らしが始まっていく。雨の止まない世界。あなたは、どう着こなす?
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。