毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月19日号からの抜粋です)
横山:7月から酷暑で、この後も残暑が続きそうです。これまでアパレル業界は8月から秋物を売り始め、9月、10月に秋商戦の山を迎えていましたが、9月にセーターを売っている場合ではないという機運になっています。そこに各社がどう対応するのか。1カ月前に編集会議で「やろう!」と決まったスピード感のある特集です。
本橋:昨年の「長い夏」の反省を生かす動きが顕著です。僕は三陽商会の加藤郁郎副社長の「MDカレンダーを四季から五季へ変える」というのがキャッチーだし、腑に落ちました。10月前半までは夏といえそうな気候ですから、夏を前半戦と後半戦に分けて緻密にやろうというのは、正しい考えだと思いました。
横山:夏ってアイテムのバリエーションが限られていて、単価も利益率も低い。でも、夏がここまで長いとさすがに夏に向き合わないといけないです。
本橋:同時にファッションには“先取り感”が必要。暑いけれど、いかに秋気分を取り入れるか。「アングリッド(UNGRID)」は秋に着たいネルシャツを、ショートパンツとブーツに合わて肌見せするなど、どこかに引き算的アイテムを入れるスタイリング提案がうまかったです。
横山:私は店頭を取材しましたが、「真夏日にウールのコートが入荷されたらどうするのか」と敏腕販売員に聞いたら、「洋服は鮮度が大事なので、バーンと打ち出して勝負する。天気を言い訳にはしない」と力強い返答で、現場の心意気はさすがだなと思いました。セールの重要度が減って、アパレル企業も商業施設も通年でプロパー(定価)で売ろうと取り組んでいるので、MDカレンダーを見直すのにはいいタイミングだと思います。
気温と服はまだまだ掘り下げられる!
本橋:横山さんは気象情報会社ウェザーニューズを取材したんですよね?
横山:「天気が売れるものを決める!」と、海浜幕張のスタジオに行ったのですが、多数の気象予報士がリアルタイム解析して、24時間365日天気を報じている様子に感動しました。キャスターの山岸愛梨さんはカーディガンを大量に持っていて、中に着るものとの組み合わせで気温の変化に対応しており、もはや温度調整に失敗することはないそうです。中期的な気候の予測はファーストリテイリングの柳井正会長も気にしていると聞きました。気温と服はまだまだ掘り下げられる!と思いました。