ファッション業界には、「インポーター」や「ディストリビューター」と呼ばれる職種がある。それは海外ブランドとの契約の下、日本への輸入や国内での販売を行い、新しいブランドを紹介する仕事だ。そして、ブランドのその後の成長にも大きく関わる仕事でもある。そんなインポーターのアオイで「MSGM」など若手ブランドの発掘を手掛けてきた馬野龍男・前商品部マネージャーが独立し、6月に新進ブランドを扱うショールーム ウーノ(SHOWROOM UNO)を立ち上げた。「新しいブランドを見つけることが好き」を話す馬野・社長にこれまでのキャリアや独立後の働き方を聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):これまでインポート業界一筋でやってこられたのですか?
馬野龍男ショールーム ウーノ社長(以下、馬野):大学卒業後、初めに就職したのは大阪にあるニットの卸問屋でした。そこで3年間“営業のいろは”を学んだ後、ムーンバットに転職して、新設されたばかりのアパレル部門でインポートブランドの営業として経験を積みました。その後、大磯産業と八木通商を経て、アオイに入社してパオラ フラーニ事業部に配属になりました。事業部長にもなり、「パオラ フラーニ(PAOLA FRANI)」自体も好きでしたが、5年ほどたった頃からもっと新しいブランドを開拓したいと思い、出張時に意識的に探すようになりました。その中で見つけたのが「MSGM」です。当時はショールームでマッシモ・ジョルジェッティ自身が接客しているほど小さなブランドでしたが、数シーズン見続けて、4年前に契約を結び、日本に本格的に持ってきました。その頃、大阪にアオイ直営のセレクトショップ「ヴェロワー(VELOWER)」をオープンしたこともあり、店舗で扱うブランドのバイイングも手掛けていました。
WWD:独立しようと思ったきっかけは?
馬野:海外で新しいブランドを探しているうちにいろんな接点ができて、中には日本に持ってきたいブランドもたくさんあったのですが、会社にいると取り扱えないブランドも多かったというのが一つです。小さくてもいいブランドはあるし、すぐにビジネスとして結果が出なくても日本に紹介すべきブランドもある。そういうブランドを自分の判断でスピーディーに持ってきたくて、ショールーム ウーノを立ち上げました。今は、ウクライナ発のユニセックスブランド「ユリア イエンフィムチュックプラス(YULIA YEFIMTCHUK+)」やロンドンブランド「シャーリー メイ(CHARLIE MAY)」など10ブランドとディストリビューション契約やエージェント契約を結んでいます。ジャンルに縛られず、買いやすい価格帯でインポートらしさがあるものを取り扱っていきたいと考えています。
「ユリア イエンフィムチュックプラス」2017年春夏コレクション
「シャーリー メイ」2017年プレ・スプリング・コレクション