中国の毛織物大手で、レナウンやSMCPなどを傘下に持つ山東如意科技集団(SHANDONG RUYI GROUP以下、山東如意)がバリー(BALLY)の株式の過半数を取得した。昨年ファッションビジネスからの撤退を宣言したバリーの親会社、JABホールディング(JAB HOLDING以下、JAB)は少数株主になる。山東如意は昨年10月に、米の繊維大手インビスタ(INVISTA)から、「ライクラ(LYCRA)」「クールマックス(COOLMAX)」などの繊維事業を数千億円規模で買収を発表したばかりだ。中国企業を軸に、国境と業態を超えた再編が始まりそうだ。フレデリック・ドゥ・ナープ (Frederic de Narp)=バリー最高経営責任者(CEO)をはじめとする幹部職も少数株主だが、取り引きの詳細は明らかになっていない。
邱亜夫(Qiu Yafu)山東如意会長は「JABやバリーのマネジメントチームとともに、バリーの新たな道を切り開くことを楽しみにしている。この買収は山東如意がファッション・アパレル業界の世界的リーダーになる布石となる」とコメントした。
バンク オブ アメリカ メリルリンチ(BANK OF AMERICA MERRILL LYNCH)やシティ グループ(CITI GROUP)の協力のもと、バリーの買い手を探してきたドゥ・ナープ=バリーCEOはこの買収結果を「夢が叶った」とし、「山東如意の会長はファミリーを大事にする男だ。山東如意とバリーの価値観はぴったりと合っていた。バッグやアクセサリーに強いバリーは、アパレルに強い山東如意のブランドポートフォリオを補完するだろう。山東如意が買ったのは会社だけでなく、われわれのビジョン、ブランド、戦略、チームもだ。同じチームと戦略で企業としての歩みを進める」と喜びをあらわにした。バリーは年間売上高10億ドル(約1090億円)ブランドを目指しているという。
バリーが中国市場に参入したのは1986年。現在50以上の販売拠点をもつ中国市場は同ブランドにとって売り上げが最も多い市場で、2ケタ台成長を続けている。
JABは、所有していたジミー チュウ(JIMMY CHOO)は13億5000万ドル(約1470億円)でマイケル・コース ホールディングス(MICHAEL KORS HOLDINGS)に、ベルスタッフ(BELSTAFF)は英化学メーカーのイネオス(INEOS)にそれぞれ売却している。