「オメガ(OMEGA)」や「ブレゲ(BREGUET)」などを擁する世界最大の時計企業スウォッチ グループ(SWATCH GROUP)の2018年12月期は、売上高が前期比6.1%増の84億7500万スイスフラン(約9237億円)、営業利益が同15.2%増の11億5400万スイスフラン(約1257億円)、純利益は同14.8%増の8億6700万スイスフラン(約945億円)の増収増益となった。
同社は、「19年1月は、非常に好調だった18年1月と比べるとやや劣るものの堅調なスタートを切っており、今年度も健全な成長が期待される。需要は引き続き強く、供給が追い付かないため、『オメガ』と『ロンジン(LONGINES)』でかなりの納期遅れが出ている。これは主に組み立て部門に問題があるためだが、今期前半に解消される見込みだ」と述べた。
スウォッチ グループは地域ごとや四半期別での数字は開示していないが、アジアで高い成長率を記録した一方で、18年第4四半期は同地域における卸売の需要が低下したと発表している。また、スイス時計協会によれば、同12月の輸出額は中国からの需要低下により前年比2.8%減となった。ロゲリオ・フジモリ(Rogerio Fujimori)RBCキャピタルマーケッツ(RBC CAPITAL MARKETS)アナリストは、「同社の成長率を踏まえると、下期の業績は懸念されていたよりさらに低調だったと思われる。アジアにおけるラグジュアリーブランドの売り上げが減速していることや、スイスの腕時計の輸出額が落ちていることを考えると、驚くにはあたらない」とコメントした。
他には、ミレニアル世代に好まれた「ブランパン(BLANCPAIN)」が記録的な売り上げとなり、今年度も力強く成長する見込みだという。クリスチャン・ヴァイツ(Christian Weiz)=バーダーヘルビア(BAADER HELVEA)証券会社アナリストは、「同社が、傘下ブランドの中でもラグジュアリーな『オメガ』や『ロンジン』『ブランパン』が好調だとしていることから推察するに、中~低価格帯の業績はあまりよくなかったのではないか。スイス時計協会の発表で、それらの価格帯の輸出額が落ち込んでいることと一致する」と述べた。低価格帯の腕時計は、以前からスマートウオッチとの競争に押され気味だ。
なお同社は、18年第4四半期の売上高が落ち込みはしたものの、高額なマーケティング費用は削減せずに現状を維持するという。また不安定さを増している中国市場については、今後も大きなビジネスチャンスがあると見ており、他には日本と米国でのさらなるシェア拡大を目指すとしている。