「ストーンアイランド(STONE ISLAND)」が好調だ。2018年度の売上高は前期比30%増の1億9200万ユーロ(約234億円)で、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同51%増の5700万ユーロ(約69億円)だった。ECにおいても、ドイツや米国、カナダで同35%増の高い伸び率を記録している。
ミラノの新旗艦店で行われたインタビューで、カルロ・リヴェッティ(Carlo Rivetti)会長兼クリエイティブ・ディレクターは語る。「成長要因はいろいろあると思うが、特別なことは何もしておらず、気づいたら市場に好かれていた。たぶん、時代と合っていて市場に好まれる商品があるのだろう」。
しかし、「ストーンアイランド」はうまく時流に乗っただけではない。継続的な成長を支えるべく、必要な分野にしっかりと投資している。同ブランドのニットウエアを製造しているオフィチーナ・デラ・マリア(OFFICINA DELLA MAGLIA)の株式75%を取得し、現在は事業全体の15%程度であるニットウエアをさらに強化する構えだ。また、同ブランドと37年間にわたって提携している染色会社のティントリア・エミリアーナ(TINTORIA EMILIANA)と協業し、後染め専門の工場を設立した。
「ストーンアイランド」の売り上げは72%が国外市場によるものだが、売り上げのトップはブランド発祥の地であるイタリアで、18年3月には世界21店舗目となる店をベネチアにオープン。同9月には、22店舗目を東京・南青山にオープンした。これは日本初の旗艦店であり、アジアでは3店舗目となる。続いて19年1月には香港店を、同3月には上海のショッピングモール内にストアをオープンした。
リヴェッティ会長は、「今年はカナダのトロントにも新たに出店する予定だ。また、2~14歳の男児向けライン“ストーンアイランド ジュニア(STONE ISLAND JUNIOR)”の初めての専門店を5月25日にミラノにオープンした。ジュニアライン全体に触れてもらえるいい機会だと思う」と述べた。ジュニアラインは事業の6%程度で、店は旧ミラノ旗艦店の跡を使っている。
5月中旬にオープンしたミラノの新旗艦店は、ラグジュアリーなショッピングエリア付近にあるランドマーク的な建物、パラッツォ・デルトロ(Palazzo del Toro)の2層を使用しており、500平方メートルの広々とした空間だ。「ぴったりの場所を探すのに6年かかったが、おかげで立地と内装の両方にとても満足している。これまでの店舗の中で最も美しい出来だ」とリヴェッティ会長。
内装はインダストリアルデザインを得意とするドイツのデザイナー、マーク・ブーレ(Marc Buhre)が手掛けている。天井が高く、大きな窓から光がたっぷりと入る開放的な空間は、すっきりと男性的でありながらも温かみのある雰囲気だ。石床は表面をハンマーでたたいたビシャン仕上げで、酸化処理されたアルミニウムやペイントされた金属メッシュが壁に使用されている。店内にある階段は、カーブを描く黄色いガラスの手すりが印象的だ。
「ストーンアイランド」はその特殊技術でも知られているが、これは偽造防止や製造工程の化学的廃棄物を減らすためでもあるという。そうした商品の研究・開発プロジェクトである「プロトタイプリサーチ(PROTOTYPE RESEARCH)」の第4弾として、限定100着のジャケットを5月23日にオンラインで発売した。