毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年12月26日号からの抜粋です)
五十君:今回「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI)」を特集したのは、年明けに青山エリアに店を出すと聞いたのがきっかけです。デザイナーにとっては大きな節目だなと。「WWDJAPAN」デジタルマーケチームからも「マメ クロゴウチ」のニュースはバズると聞いていて。デビューから見ていることもあり、12年を振り返りたいと思いました。
藪野:パリコレでの発表や「ユニクロ(UNQLO)」との協業など、徐々に海外でのプレゼンスも高まりつつあります。
五十君:クリエイターとして取り上げられることが多いけれど、じっくり話すと経営者の側面を改めて強く感じました。日本のモノ作りを次の世代に残すために自分たちができることを語っていたのが印象的でした。
藪野:そうですね。最初から大きなビジネスプランがあり、計画通りに進んできたと話していて感心しました。国内セールス担当の六本木(八栄)さんや海外セールスと中国でのPRを担当する中村(聖哉)さんなど、いいタイミングで必要な人に巡り会っています。本人は「神さまからの贈り物」と言っていましたが、一緒に取り組みたいと思わせる黒河内(真衣子)さんの人柄と明確なビジョンがあってこそ。それが、着実な成長につながっていると感じます。もう一つ印象的だったのは、「常に子どもであろうと心掛けている」と語っていたこと。コレクションを作るたびに「キュンとする」というピュアな気持ちがあるから、多くの女性が「着たい!」と思うコレクションが作れるんでしょうね。
五十君:協業しているファーストリテイリングの柳井(正)会長も「彼女の繊細な服は女性の心をつかむ」と評価していました。今、服を買う時や何かを選ぶ時に、“理由”や“能書き”が必要な時代だけれど、頭でっかちにならずにピュアに可愛いモノを作る、というのは大事だと改めて感じます。黒河内さんはちょうど私と藪野さんの間くらいの年齢で、同世代感があります。世界に向けて自分を表現している人がいるというのは誇らしいです。
藪野:この数年で、国内外問わず、第一線で活躍する同世代が増えてきましたよね。黒河内さんのように世界を舞台に勝負する日本人が増えるのは心強いし、うれしいですね。