会場からの質問にジョークを交えて答えるマーク・リトル=パタゴニア メンズ・ライフ・アウトドア グローバル・プロダクト・ライン・ディレクター PHOTO:TAMEKI OSHIRO
INFASパブリケーションズは12月11日、「WWDJAPANサステナビリティ・サミット2023」を東京ポートシティ竹芝ポートホールで開催した。5つのトークセッションと“循環”をテーマにしたブース出展には前年を大きく上回る来場者が集まり、終日賑わいを見せた。
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「WWDJAPANサステナビリティ・サミット2023」はサステナビリティの中でも“グローバル、最先端”をキーワードに2020年からスタートしたトークイベントで、4回目の今年は、リアル開催にこだわって会場を選定。再生可能エネルギーで稼働する巨大スクリーンが特徴的な東京ポートシティ竹芝ポートホールを舞台に、没入感ある映像を生かしたトークセッションを4つと、新進企業家たちによる循環をテーマにした新プロジェクトのプレゼンテーションなどを行った。参加者はケリング(KERING)、パタゴニア(PATAGONIA)、良品計画といったサステナビリティの先進企業や団体から迎えたリーダーたちの言葉に聞き入り、Q&Aセッションでは各人が抱える課題へのアドバイスを求めるなど熱の入ったやりとりが数多く見られた。
2つ目のセッションは「榮倉奈々はなぜ経営者となり、ブランド「ニューナウ」を立ち上げたのか?」。モデル・俳優として活躍する榮倉奈々が、受注生産型ブランド「ニューナウ」の立ち上げについて語った PHOTO:TAMEKI OSHIRO
最初のセッションは「環境危機下でのモノ作りとデザイナーの役割」。マーク・リトル=パタゴニア メンズ・ライフ・アウトドア グローバル・プロダクト・ライン・ディレクター。テーマがこの日のために来日し登壇をした PHOTO:TAMEKI OSHIRO
3つ目のセッションは、「社会課題の解決や地域振興におけるデザイン」。金井政明・良品計画代表取締役会長と山縣良和リトゥンアフターワーズ代表兼ここのがっこう代表がテーマを深く掘り下げた PHOTO:TAMEKI OSHIRO
環境負荷を低減した撮影を目指す「ソイルメイツ スタジオ」を運営するRIKKI UENOと福留聖樹LiNK最高経営責任者(CEO)がプレゼンテーション PHOTO:TAMEKI OSHIRO
若手デザイナーデュオ「ドゥッカ ヴィヴィット」がシーチングのリサイクルプロジェクトについて熱く語り仲間を募った PHOTO:TAMEKI OSHIRO
後半のステージでは、「時代のキーワード“生物多様性“を理解する~ファッションとの関わり~」をテーマにオンラインでパリからサブリナ・ゴンサルヴェス・クレブズバッハ=ケリング ソーシングおよび生物多様性スペシャリストが参加 PHOTO:TAMEKI OSHIRO
生物多様性をわかりやすくレクチャーするジュール・アメリア=コンサベーション・インターナショナル・ジャパン カントリー・ディレクター PHOTO:TAMEKI OSHIRO
最後のステージは「大量廃棄の現状 古着の最終地点ケニアの視点を交えて考える」。アフリカ・ケニアからZオンラインでイオナ・マクレス=「キコロメオ」クリエイティブ・ディレクターを迎えた PHOTO:TAMEKI OSHIRO
アフリカでの大量廃棄の様子を現地取材した鎌田安里紗unisteps共同代表によるレポートは参加者の心に深く響いていた PHOTO:TAMEKI OSHIRO
会場は東京ポートシティ竹芝ポートホール PHOTO:TAMEKI OSHIRO
開幕を飾ったのは、この日のためにアメリカから来日したマーク・リトル=パタゴニア メンズ・ライフ・アウトドア グローバル・プロダクト・ライン・ディレクターで、「環境危機下で製品をデザインするときに必要な視点とは何か?」をテーマに、実体験を交えて熱く語った。参加者からの「アパレルビジネスにおいて今は“持続可能”という言葉だけが一人歩きしているように見える。日本企業がパタゴニアのようにパーパスを掲げ、本当の意味で持続可能へと進むにはどうしたらいいか」との問いに、リトル=ディレクターは「きっと多くの人がなかなか前に進めないことにフラストレーションを抱ているだろう、とても複雑な課題だから」と共感を示した上で「それはリーダーシップから始まるのだ。そして人々から始まる。だから声を上げ続けることが大切だ」などと来場者たちを鼓舞した。
榮倉奈々が「ニューナウ」立ち上げを語る
また、同サミットは初のミューズとして、俳優、モデルとして活躍し、アパレルブランド「ニューナウ(NEWNOW)」を今年立ち上げた榮倉奈々を迎えた。「ニューナウ」は受注生産型を採用しており、榮倉は「過剰在庫を持たず、環境への負担が少ない、ということを付加価値として感じてもらえたら嬉しい」とブランドのポリシーを説明。またサステナビリティへの考えを問われ「私がサステナブルを考える時のポイントは、子供が大人になった時の世界、自分がいなくなった後の世界。我が子が大人になってから、仲間として助け合うであろう子供たちによりよい環境と感性を持ってほしい」などと語った。
カラフルなアップサイクルデザインを得意とする若手デザイナーデュオ「ドゥッカ ヴィヴィット」によるワークショップ PHOTO:TAMEKI OSHIRO
来場者のサステナビリティへのもやもやをヒアリング PHOTO:TAMEKI OSHIRO
シーチングのリサイクルプロジェクトの仲間を募る PHOTO:TAMEKI OSHIRO
「ソイルメイツ スタジオ」のブースでは再生紙をバッグに記念撮影も PHOTO:TAMEKI OSHIRO
レンチングファイバーズ「ヴェオセル」のブースでは「どちらに一票?“プラ製”or“CO2削減に貢献する樹木由来の再生繊維製” 」と題した投票ゲームを用意 PHOTO:TAMEKI OSHIRO
「ヴェオセル」は楽しながら環境問題を学べる漫画クイズも用意。正解者には「ヴェオセル」の試供品をプレゼント PHOTO:TAMEKI OSHIRO
国際NGOコンサベーション・インターナショナルブースでは、VRで映像「DROP IN THE OCEAN」を体験。小さなプランクトンの視点から、息をのむようなバーチャルリアリティの世界で海を探検し、大切な海を守る必要性がいかに緊急かを体験した PHOTO:TAMEKI OSHIRO
榮倉奈々が手がける受注生産型ブランド「ニューナウ」の展示も PHOTO:TAMEKI OSHIRO
“美味しいコーヒーのサステナビリティを高める“をテーマに、コーヒー生豆のプラットフォームを運営する「ティピカ」のブースでは、日本を代表するロースター小田政志(Raw Sugar Roast)が焙煎、抽出したコーヒーを提供した PHOTO:TAMEKI OSHIRO
オーガニックへ完全移行した高級ティーメゾン「クスミティー」が来場者に振る舞われた PHOTO:TAMEKI OSHIRO
アフターパーティでは、来場者は「ジョニーウォーカー」による3種類のオリジナルの“サステナブル・カクテル”を楽しんだ PHOTO:TAMEKI OSHIRO
「ジョニーウォーカー」をベースに、ほうじ茶やコーヒーなどを合わせた見た目も美しいカクテル PHOTO:TAMEKI OSHIRO
本サミットでは、参加者が考えるサステナビリティに関するメッセージを集めてビジュアルアートを完成させる「VOICE=ART PROJECT」を実施し、巨大スクリーンに投影した。ビジュアルはManami Sakamoto、音楽はSakura Tsurutaが担当した。Sakura TsurutaはパーティのDJも務めた PHOTO:TAMEKI OSHIRO
1月末から全セッションのアーカイブ動画配信
各セッションの内容と登壇者は下記の通り。なお、セッションごとの詳細リポートとアーカイブ動画は2024年1月末に公開予定。
■「環境危機下でのモノ作りとデザイナーの役割」
マーク・リトル/パタゴニア メンズ・ライフ・アウトドア グローバル・プロダクト・ライン・ディレクター
■「榮倉奈々はなぜ経営者となり、ブランド「ニューナウ」を立ち上げたのか?」
榮倉奈々 / LAND NK 最高経営責任者
■「社会課題の解決や地域振興におけるデザイン」
金井政明/良品計画 代表取締役会長
山縣良和/リトゥンアフターワーズ代表、ここのがっこう代表
■「時代のキーワード“生物多様性“を理解する~ファッションとの関わり~」
サブリナ・ゴンサルヴェス・クレブズバッハ/ケリング ソーシングおよび生物多様性スペシャリスト
ジュール・アメリア/コンサベーション・インターナショナル・ジャパン カントリー・ディレクター
■「大量廃棄の現状 古着の最終地点ケニアの視点を交えて考える」
鎌田安里紗/unisteps共同代表
イオナ・マクレス/「キコロメオ」クリエイティブ・ディレクター
【アーカイブ視聴について】
・動画配信は2024年1月末を予定
・視聴方法:vimeo、YouTube、Instagram / 無料視聴
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「WWDJAPANサステナビリティ・サミット2023」詳細はこちら