キャリアコラム
連載 就活相談室

書類選考に3000人 アダストリアが新卒に人気な理由

 前身の福田屋洋服店は1953年に水戸で創業。82年にジーンズカジュアルショップ、ポイント(POINT)をスタートし、今や「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ローリーズファーム(LOWRYS FARM)」「ハレ(HARE)」「ジーナシス(JEANASIS)」など18ブランドを抱えるSPA企業が、アダストリアだ。2017年2月期の売上高は2036億円で国内1000店以上、海外にも100店以上を構える。そんなアダストリアの新卒採用について、切替徹・人事総務部アシスタントマネジャー(以下、切替)に聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):2018年度の入社予定人数は何人ですか?

切替:330人で、ほぼほぼ目標数達成です。前年度が210人の採用で、18年度はその1.5倍くらいを目指すということでやってきました。売り手市場なので厳しいタイミングでしたが、応募人数も前年を超え、予想よりはうまくいったという感触です。

WWD:1.5倍は大変でしたね。獲得のための特別な策はありましたか?

切替:まず企業としての露出が純粋に増えたと思うので、それを告知して興味を持ってもらえるようにするなど、伝える内容を増やしました。また、自社の説明会を、こちらで時間を区切った一方的なものから、会場内にいくつもブースを設けて、職種ごとで説明するようにしました。予約は必要ですが、退場は自由なので、ピンポイントで参加する人もいれば、1日かけていろいろなブースを回る人もいて、使い勝手がよかったようです。それにしたところ、参加人数が1.5倍くらいになりました。東京と大阪で開催しましたが、1日で600人くらい集まりました。説明する方は1日に何回も同じことを話すので大変でしたが(苦笑)。

WWD:転勤のあるなしで総合職と地方限定職を分けていますが、希望職種は出せますか?

切替:基本的に最初は全員販売ですが、やりたい職種は聞きます。販売以外ですと、プレスとMDが人気ですね。また、もの作りの部分を強化しているので、社内でも育てていこうと17年度からデザイナー、パタンナーの専門職を新卒でも5〜6人採用しています。ただ、それでも最初は販売からです。18年度は空間デザインの分野でも内定を出しました。

WWD:配属ブランドは希望が出せますか?

切替:入社時に聞きますが、店舗までは聞きません。総合職採用の場合は、いきなり北海道や九州のショップに配属ということもあります。会社としてもキャリアとしていろんな地域やブランドを経験してもらうことが大事だと考えています。

WWD:試験は面接ですか?

切替:3回の面接で、1次と2次の間にウェブの適性検査があります。エントリー自体は9000人くらいで、書類選考は3000人弱の応募があります。“自分らしいスタイルの全身の写真”を送ってもらうのですが、それで特に問題がなければ1次面接で会います。1次のグループ面接では動機や希望職種、学生時代に頑張ったことなどを聞きます。

WWD:どんなところを重視しますか?

切替:初めは皆、販売職なので、まずその適性があるかどうかを見ます。コミュニケーションや気遣いができるということは大事ですね。また、何事も楽しめる人は、一緒に仕事していても楽しいと思います。挑戦することも楽しめる、そういう人に入ってきてほしいと思います。やはり学生時代に何かに熱心に取り組んだ人というのは、光るものがありますね。社会も変化しますし、会社としても新しいことに取り組む社風があるので、自分から前向きに挑戦できる人を求めています。

WWD:2次は?

切替:ブランド長が面接に加わるので、「店についてどう思うか」や「店長になったらどんなことがしたいか」など、より深い質問をします。3次は役員面接です。聞く内容は本当に役員によりますね。質問内容はバラエティーに富みます。

WWD:4月と9月に入社を分けていますが、その意図は?

切替:「色彩検定を受けたかった」「海外に旅行に行きたかった」というような声があったので、8年くらい前からスタートしました。ですから、完全に本人次第です。留学をした人もいますし、9月までの間にショップでアルバイトをしたという人もいます。

WWD:17年度入社での比率はどんな感じでしたか?

切替:4月が160人、9月が50人です。9月入社は半年間楽しんだり、いろいろと準備をしてきて、明るい子が多いです。今年は「世界一周してきました」という人もいました。また、9月入社組は人数も少ないので結束も強まるようですね。

WWD:面白そうですね。

切替:ここ何年か理系出身の人や将来の幹部候補になるような起業家精神がある人に来てもらいたいとは考えています。そういう人たちにもっと企業としてアダストリアを知ってもらわなくてはいけないですね。ブランドが好き!というのもうれしいのですが、飲食や海外展開もあることを魅力と捉えてくれるような人も欲しいと思います。採用側としてはそうした人材にどうアピールし、アプローチするかが課題です。

WWD:17年度新卒生の入社後の様子はどうですか?

切替:ちょうど入社半年後の研修を終えたところですが、すごくやる気で頑張っている人もいれば、少しもがいている人もいますね。半年後研修ではお店の数値管理やVMDの基礎知識、部下教育などについて教えます。4月の研修は接客についてがメーンです。

WWD:入社前も研修がありますか?

切替:内定を6月に出して、内定式が10月なのですが、それまでに内定者へのフォローを2回します。1回目は個人面談ですが、500人くらいに内定を出していたので、1カ月くらいかけて行います。入社を悩んでいるような人にはコンサルティングのようなこともして、入社に積極的になってもらえるようにし、入社後のミスマッチを防ぐようにしています。懇親会も行ったりします。2回目は簡単なマーケットリサーチなど、グループワークをしてもらうようにしています。

WWD:入社前からですか?

切替:そうですね。一堂に集めて、内定者同士のつながりを作ってもらいたいというのが第一義なのですが、入社前の不安解消や業界のことを知ってもらうこともしています。グループワークをすると結束力が生まれやすいんですよね。私が入社した10年前も同じようなことをしたのを覚えています。

WWD:内定式後も何かありますか?

切替:研修的なものを1回やります。

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